【子育て論】子供の「能力」は親の言葉で伸びる

子育て

10歳からバスケットボールをはじめ、日本一を2度経験。
プレイヤーとしての夢は病気の影響により断念したが、「成長過程にいる男たちを、いっぱしの男にしてやりたい!」という思いを胸に、バスケットボールコーチしてます!また大学事務職員として教学マネージメントを担当。リアルな観点から「教育」「子育て論」「コーチング」などについて情報を発信していきます!

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将来、わが子に「たくましく生きていける人」になってほしい。そのためにも「知恵を働かせることのできる人」になってほしい。そして、つねに前向きに自分の道を切り拓いていってほしい。親なら誰もが強く願うことです。

そのような子に育てるために、親として何をしたらよいのでしょうか。きわめて大切な働きかけのひとつが、親から子への「言葉がけ」です。的確で心に沁みる親の言葉は、子どもの人格形成に好影響し、その後の人生を大きく豊かにします。親としては、そこを意識して子どもと接していく必要があるのです。

では、子どもに対してどのような言葉がけをしたらよいか、なかなか難しいですよね。ポイントは「非認知能力」と言われています。この大切な能力を伸ばすような言葉がけをすることで、子どもをやる気にさせたり、我慢強くさせたり、他者を思いやれる人にしたりと、望ましい本質的な子育てができるのです。

「子どもが伸びる親のことば」とは、具体的にいかなるもので、いつ、どのように発すれば効果的か、教育心理学の視点にたち、子どもの心の発達や学力についての最新の知見をふまえつつ、下記の本をもとに、分かりやすく説明していきます。

非認知能力

「いくら知能が高くても、かならずしも社会に出てから成功するわけではない」──ということが注目されるようになりました。知能(IQ)が高いのにパッとしない人もいれば、知能は平凡なのに大成功する人もいるのはなぜなのか、社会的成功をもたらす要因はなんなのか、ということに関心が向けられたのです。

そこで明らかになったのが「学力と直接関係ないため軽視されてきた《非認知能力》こそが、幸福な人生の大きな要因になっている」という事実です。非認知能力の高い子は、将来、社会に出てから成功する可能性が高いことが証明されているのです。

学力に直接関係する認知能力に対して、学力に直接は関係しないのが非認知能力です。

アメリカの心理学者ダニエル・ゴールマンは、平均的なIQの人が大成功したりする背景を探ったところ、自制心、熱意、忍耐力、意欲などが大切であることに気づき、それらを「こころの知能指数(EQ)」としました。

その後、多くの研究がおこなわれていますが、非認知能力が高いほど、以下のような傾向が見られることが証明されています。

・人間関係が良好
・幸福感が高い
・人生に対する満足度が高い
・身体的健康度が高い
・抑うつ傾向が低い
・孤独を感じにくい
・学業成績が良好
・仕事の成績が良好
・会社などで管理職に就きやすい

このような結果を見れば、納得のいく人生にしていくために、非認知能力がとても重要な要素だということが分かると思います。そして、非認知能力が高い人は、つぎのような性質を有しています。

自制心=衝動や感情を必要に応じて抑制できる。これがうまくできないと、衝動に駆られて短絡的な行動をとったり、感情を爆発させてせっかくの関係を台無しにしたりしてしまう。

忍耐力=なかなか思いどおりにならない厳しい状況でも諦めずに粘り抜いたり、欲求不満に耐えたりできる。これができないとすぐに諦めてしまい、何をしてもうまくいきにくい。

意欲=自分の気持ちを奮いたたせ、物事に意欲的に取り組める。これが足りないと、何に対しても無気力になりがちで、なかなか成果を出すことができない。

共感性=他人の気持ちがよくわかり、思いやりをもって関われる。これが足りないと、相手の気持ちや立場を思いやることができないため、人間関係がなかなかうまくいきにくい。

子どものころから、こうした性質を伸ばすように意識した関わり方、つまり親による適切な言葉がけをする必要があるのが、おわかりいただけると思います。

「こころ」は、たくましいですか?

「非認知能力の高さ」は、どのような観点から見分けられるのでしょうか。この能力の高い子と低い子に見られがちな違いについて、そのポイントを整理すると以下のようになります。

(1)我慢強いか、我慢できずに駄々をこねるか
(2)集中力があるか、気が散りやすいか
(3)粘り強いか、飽きっぽいか
(4)誘惑に負けずにやり抜けるか、すぐに誘惑に負けてさぼってしまうか
(5)怒りなどのネガティブ感情を抑制できるか、すぐにネガティブ感情を爆発させるか
(6)人の気持ちに敏感か、それとも鈍感か
(7)協調性があるか、わがままを通そうとするか
(8)よく考えて行動するか、衝動的に行動するか 

各ポイントの前半が当てはまるほど非認知能力が高く、後半が当てはまるほど非認知能力が低いことになります。

お子さんはどちらの傾向が強いでしょうか。もし、非認知能力の低さを疑わせる傾向が見られるようであれば、そこを改善する言葉がけが必要です。

知能に代表される「認知能力」は遺伝要因にかなり規定されると見られていますが、やる気、我慢強さ、粘り強さ、集中力、感情コントロール、協調性、共感性などの「非認知能力」は、訓練によって十分に向上させられることが分かっています。

繰り返しますが、その基本は、伸ばしたい非認知能力に本人の意識を向けさせるよう、親がじょうずな「言葉がけ」で導くことです。

こんな言葉がけが、子どもを伸ばします

では、能力別に、どのような言葉がけをすれば効果的か、大切なポイントと具体的な「言葉」の例を挙げていきましょう。

ここは我慢しないといけないという場面で、我慢できる子と、我慢できない子がいます。そこで大事なのは、親が我慢するモデルになること。そして、子どもが駄々をこねても屈(くつ)せずに、我慢強さを促すような「言葉がけ」をすることです。

例「お出かけしたいけれど、この用事を終えるまでは我慢、我慢」
例「今回は我慢しようね。そうしたら今度買ってあげるからね」

自発性・集中力のある子と、ない子がいます。そこで大事なのは、親が積極的に何かに集中するモデルになること。そして、子どもが興味のままに何かに没頭する経験をさせること。さらには、物事に集中する姿勢を促すような「言葉がけ」をすることです。

例「どうやったらいいかな。まずは自分で考えてみて」
例「好きなようにやってみたら。うまくいかなかったら、一緒に考えよう」

なかなか思いどおりにならなくても諦めずに粘れる子もいれば、すぐに諦めてしまう子もいます。そこで大事なのは、親がけっして諦めずに粘り抜くモデルになること。そして、困難な状況でも諦めずに、粘り抜く姿勢を促すような「言葉がけ」をすることです。

例「もうちょっとだけ頑張ってみようか」
例「粘ってると、案外うまくいくこともあるよ」

目標を決めたり計画を立てたりしても、遊びたいとかのんびりしたいといった誘惑に負けて、すぐにさぼってしまう子もいます。そこで大事なのは、親が誘惑に負けずに、やり抜くモデルになること。そして、いったん決めたことは、どんな誘惑にも負けずにやり抜こうとする姿勢を促すような「言葉がけ」をすることです。

例「疲れたから、もうやめたいな。でも、これを仕上げないと後で困るから、頑張らないとね」
例「ほんとにそれでいいの? 一緒にやってきた友達はガッカリしないかな」

思いどおりにならないと癇癪を起こしたり、ひどく落ち込んだり、友達にすぐに怒りを表したりと、感情をうまくコントロールできない子もいます。そこで大事なのは、親が感情をうまく操縦するモデルになること。そして、感情を爆発させないように、落ち込みすぎないように促すような「言葉がけ」をすることです。

例「そんなに落ち込むことないよ。つぎに同じ失敗をしないように気をつければいいんだよ」
例「失敗は成功の母っていう言葉、知ってる? 失敗することで成長できるんだよ」

共感性が乏しく、無神経なことをいったり、思いやりのある行動がとれなかったりする子もいます。そこで大事なのは、親が共感性を発揮し、思いやりのある言葉を発したり、思いやりのある行動をとったりするモデルになること。そして、共感性を刺激し、思いやりの心を促すような「言葉がけ」をすることです。

例「あなたがそんなふうにいわれたら、どんな気持ちになる?」
例「そんなときは『大丈夫?』っていってもらえると、誰でも嬉しいよね」

周囲の友達に適度に合わせて協調的な行動をとれる子もいれば、周囲に合わせることができずに、わがままを貫こうとする子もいます。そこで大事なのは、親がわがままな言動を控え、協調的に振る舞うモデルになること。そして、わがままを抑え、協調的な行動を促すような「言葉がけ」をすることです。

例「わがままなことをいう子がいると、みんな困っちゃうよね」
例「自分勝手な子とは、あまり遊びたくないよね」

じっくり落ち着いて考えずに衝動的に行動する子もいます。そこで大事なのは、親がじっくり落ち着いて考えてから行動するモデルになること。そして、じっくり落ち着いて考えてから行動するように促すような「言葉がけ」をすることです。

例「よーく考えてみようね」
例「ほんとにこれでいいかな? って、じっくり考えてから決めたほうが、後悔しないですむよ」

このように、日頃の親の姿勢や何げない言葉が、子どもの非認知能力の基礎になることを肝に銘じておきましょう。

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