【子育て論】「子供が常にくっついてくる」ことは子供の発達にとって、とても大切であること

子育て

10歳からバスケットボールをはじめ、日本一を2度経験。
プレイヤーとしての夢は病気の影響により断念したが、「成長過程にいる男たちを、いっぱしの男にしてやりたい!」という思いを胸に、バスケットボールコーチしてます!また大学事務職員として教学マネージメントを担当。リアルな観点から「教育」「子育て論」「コーチング」などについて情報を発信していきます!

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みなさん「アタッチメント」という言葉をご存じでしょうか?
心理学の分野では「愛着」と訳されて使われてきた用語で、不安なとき「特定のだれか」にくっついて安心感を得ようとする欲求や行動を指す言葉だそうです。

いわば「不安解消のシステム」ともいえるアタッチメントは、とりわけ乳幼児期の経験が重要だといわれています。
・子供が常に抱っこ抱っこと言ってきて、家事が全く捗らない
・将来的に、何事にも億劫な子に育ってしまうのではないか

など、悩みを抱えているパパママもいるかもしれませんが、子供の成長にとって欠かせない要素だそうです。
それがどのようにして形成されていくのかをご紹介していければと思います。

不安なときにくっつきたい――。それが「アタッチメント」

幼い子供にとって世界は未知のことばかり。まわりに人がいない、暗くなってきた、転んでひざから血が出た、見たことがない人がきた……。子供はちょっとしたことで不安を感じたり、怖くなったりするものです。そんなネガティブな感情が生じたときに、特定のだれかにくっつきたいと願い、行動し、安心感を得ようとすること――。これが「アタッチメント」です。

多くの生きものの子供には、くっつくこと自体を目的として行動するシステムが組み込まれているのだとか。だれか、あるいはなにかにくっついていれば、未成熟な子どもも危険な状況を生き延びやすくなるからと言われています。

人間の場合も同じです。怖いから、不安だからだれかにくっつこうとする傾向は、もともとだれにでもみられるものです。とくに乳幼児の場合は、くっつこうとする傾向を、親や自分の世話をしてくれる大人に対して向け、「怖かったよね」、「もう大丈夫だよ」となぐさめられることで、安心・安全な感覚を得ます。

くっついて、感覚の調整をしてもらう経験を繰り返すうちに、実際にはくっつかなくても、気持ちを立て直せるようになっていきます。安定したアタッチメントは、子供のすこやかな育ちを支える土壌となるものです。

アタッチメントの安定化は乳幼児期に決まる

乳幼児期は、「不安だからくっつきたい」という欲求が切実、かつひんぱんに生じます。そのため、その後のアタッチメントが安定的なものになるかが決まる重要な時期といえます。

なぜなら、生後3年ほどの期間は、成長するにつれ感情の種類が多様化し、ネガティブな感情が生じることも増えるからです。アタッチメントは、そうした感情の崩れを整えるのに重要な役割を果たします。

子供の感情の発達のしかたを具体的にみていきましょう。

【新生児期】―快・不快・興味
新生児の頃から「快」」と「不快」は異なるものとして存在し、さまざまな刺激に対する「興味」も持っています。
【生後半年くらいまで】―喜び・悲しみ・嫌悪・怒り・恐れ・驚き
生後2~3ヵ月頃には、「快」から「喜び」の感情が、「不快」から「悲しみ」「嫌悪」の感情が生まれます。その後、「怒り」「恐れ」「驚き」の感情もみられるようになります。はっきりした対象のない、漠然とした恐れが「不安」です。
【1歳半ごろ】―自己意識に伴う感情
「自分は本来こういうものだ」という自己認識をもちはじめる時期です。他者を意識するようになり、「てれ」や「共感」、「羨望」などの感情が生まれます(自己意識的感情)。
【2歳半ごろ】―自己評価的な感情
いろいろなルールや基準に興味を示す時期。自分がそれにかなった行動ができているかどうかで、「恥ずかしい」「誇らしい」感情や「罪悪感」などを示すようになります(自己評価的感情)。

秘訣は「かかわり」を積み重ねること

ここまで、アタッチメントは『子供の感情の崩れを整えるのに重要な役割を果たす』ことをお伝えしました。それでは、乳幼児期の子どもを支えるアタッチメントは、どのようにして形成されていくのでしょうか。

生まれて間もない赤ちゃんは、「不快」な状態に陥ると大きな声で泣き出します。このとき、まわりの大人がタイミングよくそばに来てくれて、おなかが満たされたり、おむつを替えてくれたりすると「快」が得られます。

初めのうちは、泣いたときに来てくれる人がだれであっても、不快さを取り除いてくれれば赤ちゃんは満足をします。この状態を「ジョイントネス」といい、互いに応答しあい、情緒的につながろうとしているのです。

泣いている赤ちゃんの世話を継続的におこなうのは養育者であり、多くの場合、主な養育者は親です。養育者がかかわり続けること、つまり養育者との十分な「ジョイントネス」の経験により、赤ちゃんは「泣いたときに来てくれる『この人』」を認識するようになります。そして、不快さを含め、ネガティブな感情で心の状態が崩れると、その人にくっつきたくなるのです。

赤ちゃんと養育者との間で、このような関係が成立することを「アタッチメントの形成」といいます。泣いている赤ちゃんを抱き上げてあやす――こうした当たり前ともいえるかかわりを続けることで、養育者がその子にとっての特別な人、くっつきたい特定のだれかになり、アタッチメントは形成されるのです。

子どもは「安心感の輪」をめぐるうちに成長する

アタッチメントそのものは、「不安を解消するためにくっつく」というだけのことですが、十分にくっついて安心できたら、子どもはそのうち離れて遊び出します。遊びは子どもの発達にかかせない活動です。遊びを通じて、新たな発見を重ねていきます。

くっついては出かけ、またくっつきに戻るという経験は、子どもの「心の力」になるのです。「安心感の輪」を何度も何度もめぐるうちに、子どものなかに「なにかあったら戻ればいい」という確信が生まれます。そうした確信が得られれば、「だから、もうちょっと先までいってみよう」と、チャレンジできるようにもなっていきます。

ひとりでいられる時間は徐々に増え、子どもの活動範囲は広がっていくでしょう。心身の発達とは、「安心感の輪」が拡大していくことと同義だということが言えます。

安定したアタッチメントが心の力を育む

そうしてアタッチメントが安定してくると、「心の力」が自然に育まれていくようになります。「心の力」とは「社会のなかでよりよく生きるために役立つ力」のこと。近年、幼児教育の分野で「非認知能力」として注目されています。

たとえば、自己にかかわる力が育まれると、「自分なんか」「どうせ無理」などとあきらめず、いろいろなことに挑戦しやすくなります。社会性にかかわる力として「自分はこうしたいけど、ほかの子はいやかもしれない」など、他者を思いやる気持ちがあると、人とうまくつきあっていきやすいでしょう。

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