他人の子にはガミガミ言わないのに、わが子にはよかれと思ってつい、口やかましくなってしまうのが親というものです。
どうしてかというと、わが子に対しては親としての責任があるからです。
「自立できるようにしっかりしつけなきゃ」「いい子に育てなくちゃ。だから、良いパパ・ママにならなくちゃ」というプレッシャーが常にあるでしょう。
しかし、年中無休でガミガミ言い過ぎると、子どもにとっては「ちょっと不愉快なママ」になっているかもしれません。そんな「ガミガミ」が子どもに与える影響について考えてみました。
ガミガミとダメ出しされても「頑張ろう」とはならない
【親の顔色ばかり伺うようになる】
親が普段から絶えずガミガミ言っていると、子どもは「また怒られるのではないか」と、親の顔色ばかり気にするようになります。「親の言う通りにしていたら、ガミガミ言われない」状況が続くと、やがて親の指示なしでは動けない子になり主体的な姿勢を創り出すことが難しくなります。
【学ぶ機会を奪う】
「ヘリコプターペアレンツ」という言葉があります。子どもを常に監視している、「わが子の頭上で旋回するヘリコプター」のような過保護・過干渉の親を皮肉った言葉です。
登校前に、「あれ持った? これ持った? 忘れ物をしてはダメよ!」と何度もガミガミ注意する。それでも筆箱を忘れたとき、「困っているのではないか」と思い、学校に届けてしまう。そうしたことを繰り返すうちに、子どもは「ママが届けてくれるから大丈夫」と思うようになってしまいます。
また、公園の砂場で、他の子とおもちゃの取り合いになる前から「仲良く遊ぶのよ」とガミガミ言って釘を刺すのも、実は、わが子の社会性やコミュニケーション力を伸ばす絶好のチャンスを奪ってしまっているかもしれません。信頼関係のあるママ友同士なら、「子どもの社会性を伸ばすために、手出しや口出しはやめておこうね」と、あらかじめ打ち合わせしておくとよいのではないでしょうか。
【「ダメ出しが多い人」に成長してしまう】
子どもが進んでおもちゃを片付けているときは無言なのに、散らかしているときは「何で片付けないの!」とガミガミ叱る。食事のとき、ちゃんと口に入れた食べ物もあるのに、残した物だけにスポットを当てて「どうして残すの!」とガミガミ叱る。こういったことに、心当たりはありませんか。
いつも欠点ばかりを指摘されたら、子どもは自信をなくすだけでなく、将来、自分に対して低い自己評価しかできない大人になってしまうかもしれません。良い時を見つけた時は褒めてあげましょう。
残念ながら、親からガミガミとダメ出しをされた子どもが、「よし! 頑張ろう」とはなりません。それどころか、「みんなはできているのに、どうしてあなたはできないの」という言葉をかけ続けられることにより、「どうせ僕はダメなんだ」と自己否定するようになってしまうかもしれません。こうなると、子ども自身が「自分を受け入れられない」「自分を好きになれない」状態に陥ります。
「常に人より優れていなくてはならない」という価値観が染みつき、自己肯定感が低く、何を手に入れても満足できず、幸せを感じられない――。わが子がそうした子になってしまうことを望む親は、きっといないはずです。
この先の長い人生では、さまざまな試練が降りかかってきます。しかしそんなとき、わが子に「でも、自分は大丈夫」という自己肯定感があれば、乗り越えることができるのではないでしょうか。
「比べる病」からの卒業を
「いい子に育てたい」という思いが強いあまり、周りの子どもや兄弟姉妹とつい比べてしまうのは、親のさがかもしれません。“比べる病”に侵されると、「あれもできない、これも不足だ」と、どうしてもガミガミと叱る回数が多くなってしまいます。
「多様性を認めましょう」「個性を大事にしましょう」といわれつつも、実際には体重や身長にはじまり、小学校に入学すればクラスの平均点と比べてどうか、そして大人になってからも平均年収、平均寿命…と、親自身も周囲や“平均”と比べられながら生きてきたので、ある意味、仕方のないことなのかもしれません。
しかし、よその子と比べても、わが子の成長は見えてきません。他人の子どもの物差しは捨てて、わが子の「過去」と「今」を比べてみましょう。
例えば、「以前は弟に一切おもちゃを触らせなかったが、今は少しだけなら貸してあげることができるようになった」「落ち着きがなく、半年前は病院の待合室でじっと座っていることができなかったけれど、今は、5分くらい座っていられるようになった」「偏食だったが、今は種類こそ少ないものの、いろんなものを食べられるようになった」などです。そして、それを心の中で思うだけではなく、実際に口に出し、「認める言葉」としてわが子に伝えてあげましょう。
子どもはこの世に生を受けて、まだたったの数年です。親にとってはなかなか難しいことかもしれませんが、わが子への要求が過度にならないようにしたいものですね。
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