【教育】「ケンカするほど仲が良い」は嘘?

教育

10歳からバスケットボールをはじめ、日本一を2度経験。
プレイヤーとしての夢は病気の影響により断念したが、「成長過程にいる男たちを、いっぱしの男にしてやりたい!」という思いを胸に、バスケットボールコーチしてます!また大学事務職員として教学マネージメントを担当。リアルな観点から「教育」「子育て論」「コーチング」などについて情報を発信していきます!

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・兄弟ケンカが尽きない
・チームメイトといつも意見が対立する
・恋人との口論が絶えない

などなどお悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。
自分が好きな人のはずなのに、小さなことでイライラして言い争いになってしまう。どうしたら、この関係を改善できるのか。

今日はアドラー心理学の観点から哲学者の岸見一郎先生のご説明を元に紹介していきたいと思います。

怒りは人と人を離す感情である

何でも言い合えるのは大切なことですが、感情を交える必要はまったくありません。口論が絶えないのは、決して当たり前のことではありません。実際、初めからそうだったわけではないでしょう。

今の関係を変えるために必要なことは、まず、そんなものだと思って諦めてしまわないことです。仲良くなりたいのであれば、そうなれるよう努力しなければなりません。「努力する」といっても、今より好きになるということではありません。2人の気持ちではなく、関係を変える必要があります。

どのように関係を変えていけばいいかは後述しますが、別れたくないのであれば、口論は避けなければならないことも知らなければなりません。喧嘩をするほど仲がよいという人がいますが、そんなことはありません。

アドラーは、「怒りは人と人を離す感情である」といっています(『性格の心理学』)。口論をするときに、怒らない人はいないでしょうから、口論をすれば必然的に2人の距離、対人関係の心理的な距離は離れていくことになります。

口論をしているときには、2人のあいだに愛はないのです。「2人は本当は愛し合っているけれども口論している」のではなく、「口論している2人はもはや愛し合っていない」ということになります。

愛があるからとか相手が好きだから、いいコミュニケーションができるのではありません。この人とはいいコミュニケーションができていると思ったとき、相手を好きだと感じるのです。

これは、上手に会話のキャッチボールができるということではありません。相手に受ける話をしようと考えて自分をよく見せようとしなくても、ふと思いついたことを相手にどう思われるかを気にしないで口に出せるとか、たとえ何も話さなくても沈黙を恐れなくていいということです。

なぜ、言い争いが絶えないのか

口論をすることには目的があります。

この人とはもうやっていけない、別れようと思いたいとき、そう思えるような感情を作り出すために、口論をするのです。だから些細なことであれ、深刻なことであれ、理由はいりません。もしくは、どんなことでも口論の理由にできるのです。

やがて、言い争ってないときでもそのときのことを思い出して嫌な気分になると、いよいよ別れようという決心が固まってきます。

また、口論をすることが屈折した承認欲求であることもあります。

相手に認めてもらうために、口論をして相手の心を煩わせようとするのです。それ以外の方法で繋がりを確かめる方法を知らないのかもしれません。

たしかに、相手の心を煩わせたら、相手の注意を引くことができますが、別れるつもりがないのであれば、もしくは、そんなふうにして相手に愛されたいと思うのであれば、リスクはあまりに大きすぎるといわなければなりません。

愛してほしいのであれば、「私のことを好きになってください」といえばいいのです。相手に愛されようと思って口論をするのは、愛されるという目的を達成する手段としては最悪です。口論する必要はまったくありません。口論をするために使うエネルギーは無駄です。そんなエネルギーがあるのなら、関係をよくするために使わなければなりません。

穏やかな気持ちになるために

それでは、どうすれば2人の関係を変えることができるでしょうか? 一つは、初めて会ったときにどうだったかということを、度々思い出してみることです。付き合い始めた最初の頃は、嫌われないかと遠慮していいたいこともいえなかったかもしれません。それが今ではきちんと主張できるようになったのはいいことですが、遠慮がなくなり、相手を傷つけるようなことをいっていいわけではありません。
私も大学時の恩師に「人には良いところと悪いところがある。人の良いところを見つける努力をしなさい」と教えてもらいました。

次に、何か相手にしてほしいこと、してほしくないことがあれば、怒りの感情を使うのではなく、言葉を「お願い」することです。口論の理由はいらないと先に書きましたが、何かを相手に要求して断られたら感情的になります。

そうならないために、相手が断れる余地を残す言い方をする、具体的には疑問文(「~してくれませんか?」)や仮定文(「~してくれると助かるのだけど」)を使うようになると、2人が感情的になることは少なくなります。もちろん、そんなふうにお願いしてみても、断られるかもしれませんが、断られても引き下がれるようになります。何が何でも今自分の要求を聞き入れてもらわなければならない、とは思わなくなるのです。

口論するというのは、基本的には議論することです。口論から感情を差し引かなければなりません。このような努力をすれば、やがて、2人が会えば口論ばかりしていたときと違って、穏やかな気持ちで過ごせていることに気づくことが増えてきます。
関係を育むのに時間がかかりますが、関係を壊すのは一瞬です。しかし、一度喧嘩をすれば2度と環境を修復できないかといえば、そうではありません。取り返しがつかなくなる前に、素直になって謝るしかありません。

こうした努力は大変だと思う人がいるかもしれませんが、関係をよくするための努力であり、努力の成果も見えてきます。一朝一夕には関係が変わることはないとしても、前は途方もないエネルギーを使っていたのに、今はそうではないことに気づくのは、それほど遠い先のことではないでしょう。

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