エアコン無しにはとても眠れないこの季節。暑さだけでなく湿気も凄まじく、暑い中でもより快適に眠る方法を模索する毎日ですよね。
そこでふと睡眠に関して気になったのは「そういえば大人になってから寝相が良くなった」ということでした。子どもの頃はいつの間にか布団を蹴飛ばしていたり、布団に対して並行に寝ていたり、ベッドから転げ落ちたりすることがよくありました。自分の子ども芸術的な寝相に毎晩妻と感銘を受けているものです。
大人となった今はどれだけ寝苦しい夜にも、目覚めたときに寝相がひどく変わっていることはあまりありませんよね。
なぜ子どもは寝相が悪くなりがちなのでしょうか? 睡眠研究のパイオニアとして知られる『一般社団法人 日本睡眠改善協議会』の理事長、白川修一郎先生は子どもの寝相が悪い理由として、「脳がしっかり休めている証拠」と言います。
「人の睡眠は『レム睡眠』と、『ノンレム睡眠』に分けることができると言われています。このノンレム睡眠の中でも特に深い眠りを“徐波睡眠”と呼び、大脳が休んでいる状態となるのでしょう。小さな子どもはこの徐波睡眠の時間が大人に比べて長く、また、睡眠中の姿勢を制御する前頭葉と前頂葉が未発達なため寝相が悪くなるそうです。
睡眠の状態が悪いと徐波睡眠が少なくなり、大脳が深く休息しないため寝相が良くなります。寝相が悪いというのは脳がしっかり休めているということなので、寝相が悪い子どもの方が安心ということだそうです。
その上で、子どもの寝相が悪いからといって無理に矯正しようとするのはNGとのこと。
子どもの成長や脳神経系の発達に関与する成長ホルモンは、大部分が睡眠中に分泌されるそうです。子どもの成長ホルモンの分泌量は25歳以上の成人の3~4倍です。成長ホルモンの分泌は、徐波睡眠の出現にほぼ同期します。寝相を矯正するために睡眠を妨害すると、徐波睡眠の出現も途絶えて、成長ホルモンの分泌も減少し、そのため子どもの寝相を矯正するのは望ましくないそうです。
では、寝相が良くなり始めるのは何歳ごろなのでしょうか。白川先生は「10歳くらいが目安です。前頭葉と動作を制御する頭頂葉の発達が大人に近くなり、睡眠中も姿勢を制御できるようになっていきます」としながらも、「夏は寝具との接触面の温度と湿度が上がりやすく、不快な状況を避けるために寝返りが増えます。行動性体温調節による反射的な行動です。ティーンエイジャーでも発汗の多い人、例えばアスリートなどは寝返りが多くなり寝相が悪くなるので、何歳くらいまでで寝相が改善する……と言い切るのは難しいです」と、体質などによって寝相が悪い状態が長く続く可能性についても語られておりました。
大人でも深酒をすると前頭葉と頭頂葉の機能が低下し、睡眠中の姿勢制御ができなくなり、寝相が悪くなるとのこと。さらに飲酒は睡眠の質を低下させ、脳をしっかり休ませることができないため注意が必要です。
お酒はほどほどに。
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