【仕事】「無能な働き者」が多い日本

キャリア

10歳からバスケットボールをはじめ、日本一を2度経験。
プレイヤーとしての夢は病気の影響により断念したが、「成長過程にいる男たちを、いっぱしの男にしてやりたい!」という思いを胸に、バスケットボールコーチしてます!また大学事務職員として教学マネージメントを担当。リアルな観点から「教育」「子育て論」「コーチング」などについて情報を発信していきます!

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皆さんはこんな話を聞いたことないですか?

ドイツの軍人ハンス・フォン・ゼークトの唱えた組織論に出てくるお話です。
ゼークトの組織論は、軍人を4つのタイプに分けました。
そして、それぞれに合った職務と対処法を解説。
ゼークトによると、組織にいる人間は4つのタイプ「有能な怠け者」「有能な働き者」「無能な怠け者」「無能な働き者」に分類されます。

有能な怠け者は、判断力も行動力もあり、マネジメント能力にも優れているのが特徴。
そのため、自身が働かずとも周りの人を見定め指示をして働かせることに向いているようです。

有能な働き者は、判断力も行動力もありますが、働き者であるがゆえに、自身で仕事をこなします。
そのため、人に指示を与える仕事よりも人を支持する人をサポートする、
いわゆる参謀や政策秘書のような立場での仕事が向いているといえるでしょう。

無能な怠け者は、一見組織にとって不要で害を与える存在のように感じられますが、
そうではないという点がゼークトの鋭い部分です。
無能な怠け者は判断力も行動力もなく、また自身で考えて行動することが少ないもの。
しかし、職務を与えられるとその仕事はきちんとこなし、軍隊では兵士として活用できるといいます。
自身で物事を判断し行動を起こすようなことがなく、扱いやすい社員という立場であるといえるでしょう。

無能な働き者は、ゼークトは組織の一番の害であるとしています。
正しい判断力や行動力が備わっていないのに、勝手な自分の判断で行動してしまうというのが特徴です。
そういった人が動き回ると、間違った判断によりミスや損害が大きくなり、組織そのものに大きなダメージを与えてしまうことにもなります。
また、その無能な働き者が事件を起こした場合、責任から逃げる傾向も。
そのため、起こした事件の後始末や対応にほかの人が巻き込まれてしまうということにも繋がります。
だからゼクトは無能な働き者を戦争の最前線に配置していたそうです。

日本ではこの「無能な働き者」が多いと言われているんですよね。学校の現場では個性を奪われ、皆と一緒に、そして先生の言うことが絶対、という環境で育ってきているので、そもそも判断していくための材料が少なすぎるのです。

だから主体性が大事だ、そして学校ではアクティブ・ラーニングなど、生徒たちから学び動いていくというスタンスが最近ではようやく普及し始めました。

無能な働き者にはどのような特徴があるのか気になる人は多いのではないでしょうか?
無能な働き者には、正しい判断力や行動力が備わっていないのにも関わらず、自分の判断で勝手に行動する特徴があります。無能な働き者は周囲の人に迷惑を掛けてしまううえに、組織から評価を得にくいこともあるようです。
まずは特徴から押さえていきましょう。

無能な働き者の特徴

無能な働き者だと思われる人の特徴として、「自己判断で作業する」「無駄な仕事をする」などが挙げられます。
自分が無能な働き者となってしまわないようにするためにも、
無能な働き者にはどのような特徴があるのか把握しておきましょう。

1.勝手な自己判断で作業する
物事の的確な判断が必要なときに上司や先輩社員に確認を取らず、勝手な自己判断で仕事を進めたり、先方がいる場合は先方に勝手な返事をしたりしてしまいます。「どうして先に聞いてくれなかったの?」という内容を誤った判断で行ってしまう社員です。自己中心的な人がこれに該当します。
あなたが上の立場でないのであれば、まずは何事も確認作業をお願いすることがお勧めです。

2.無駄な仕事をする
無能な働き者は指示されていない仕事までやろうとする傾向があるようです。
しかし、与えられた本来の仕事も完璧にできていないので、自ら無駄に仕事を増やすことになり、
仕事効率を落としてしまったり、ミスをしてしまったりします。

3.報告・連絡・相談を怠る
組織で働くうえで、仕事以外にも重要なことが「ほうれんそう」と呼ばれる報告・連絡・相談です。
これは社会人の基本ともいわれるものですが、そのほうれんそうが全く出来ない人も無能な働き者だといえます。
報告や連絡をしていれば未然に防げたようなことを大きなトラブルに発展させてしまうでしょう。

4.報告・連絡・相談のタイミングが悪い
報告・連絡・相談のタイミングが悪いのも、無能な働き者の特徴です。
相談するタイミングも自分で正しく判断できず、事件が起こる前に相談するのではなく、事件が起こってから相談するなど対応が後手後手になりがち。事件が起こってからも相談せずに隠そうとするパターンもあります。

5.同じミスをする
無能な働き者は自ら無駄に仕事を増やして、ミスをしてしまいます。
また、そのミスから何も学ぼうとしないため、再び同じように自ら仕事を増やして、同じような内容のミスを繰り返すのです。

6.仕事が成功しない
無能な働き者は自己判断をして、上司に必要な報告・連絡・相談をしません。そのため、最終判断を正しく行うことができず、詰めの甘い仕事をしてしまいます。
詰めの甘い仕事をしていれば、仕事を任せると中途半端な結果ばかり出すことになり、大きな成功には繋がりにくくなることも。また、いつも中途半端な仕事で済ませていることから、仕事はするが、責任感がないという印象を持たれることもあります。

7.謙虚な姿勢が見られない
無能な働き者は、自分が無能ということに気がついていない場合があります。人によって自分は有能と勘違いをしていることもあるようです。
そのため、自分は多くの仕事をするべき、高く評価されて当然などと思ってしまい、謙虚な姿勢が見られなくなります。また、その厚かましい態度に、周囲からの信頼が得られなくなっている場合もあるでしょう。

8.自己評価が無駄に高い
無能な働き者に謙虚な姿勢が見られなくなるのは、自分が有能と勘違いしているからです。有能だと勘違いをしていることで、自己判断で作業しても良い、上司への報告・連絡・相談を怠るなどの行動をしてしまいます。
また、それらの行動によって、周囲が迷惑に思っていることにも気がついていない場合もあるでしょう。

などなど色々ありますが、まあ「やばいなアイツ」って思われるような人ですね。
自分を客観視できない、それでいて周りへの不平不満は一丁前、仕事を無駄に生み出す。
こんなところじゃないかなと思います。

働かないおじさんは「日本型雇用システム」の副産物

先にも少し触れましたが、日本は無能を生み出してしまうシステムになっちゃってると思うのです。
雇用の面でいえば、「日本雇用システム」がそれに当たると思います。
「日本型雇用システム」とは、「新卒一括採用」「終身雇用」「年功序列型賃金」等を特徴とする仕組み全般を指し、
「新卒で入社した会社で、定年まで勤務しながら徐々に賃金や職位が上がっていく」イメージになります。

この仕組みは、日本経済が右肩上がりの成長を遂げていた時代には有効に機能していました。

商品寿命やビジネスモデルの寿命も長く、技能の熟練が重視される時代では、安心して働きながら経験を蓄積した「経験あるベテラン」の方が活躍できたからです。また、経済も企業も成長を前提としていた中では、ポストも増え続けるため、「経験豊富な人材を管理職に登用して拡大する組織を運営していく」ことも合理的でした。

しかし、さまざまな環境変化や日本の構造変化に伴い、従来型の雇用システムは最適解でない(外部環境変化に対応しきれない)場面が増えてきました。あらゆる分野で短期間のイノベーションや前例のない変化が起こり、市場への臨機応変な対応やアップデートが求め続けられる中、「経験あるベテラン」の技能や「従来型の管理手法」を生かす場が、企業の中で失われつつあります。

この結果、企業に今までの文脈で誠実に長年勤めた、ある意味「真面目な」ミドルシニアほど過去の環境や雇用システムに適応し過ぎてしまった結果、そのままのスタイルでは活躍が難しくなっているのではないかと考えることができると思います。

最終的には無能で埋め尽くされる

アメリカの教育学者、ローレンス・J・ピーターが提唱した、「ピーターの法則」という組織構成員の労働に関する社会学の法則があります。

この法則によると、「組織において構成員は能力の限界まで出世し、限界を迎えるとその地位に落ち着く(出世しなくなる)。

その結果、どの階層も無能な人材で埋め尽くされる」とされています。

終身雇用・年功序列型賃金・企業別組合などが理由で定年まで降格も退職もしない組織の場合、この傾向がより顕著に発生します。なぜなら、一度昇格してしまえば、昇進後のポジションで必要とされる職務遂行能力がなかった(または外部の変化で能力が通用しなくなった)としても、懲戒事由でも発生しない限り降格されないので、能力不足な状態、即ち「無能化」したまま地位を維持することになるからです。

ゴーイングコンサーンという、財務諸表を作成する上での前提条件があります。この言葉の意味するところは、「企業というものは将来的にも存続し、事業を継続するもの」というものです。基本的には企業というものは、ずっと続くものだと考えられ(期待され)、経営されています。

しかし、先ほど説明したピーターの法則が指摘するような「どの階層も無能な人材で埋め尽くされる」状態になってしまうと、その企業の存続は危うくなってしまうでしょう。

ピーターの法則を乗り越えて、組織を維持または成長させ続けるためには、外部環境やゲームのルールが変わった際に、柔軟かつ迅速に対応できる人材を揃え、体制を最適化する必要があります。

そのためには「現在のポジションにいる人材が、期待される以上の能力を開発・発揮する(適材適所)」または「ポジションに最適な人材を、配置・入れ替えできる状態にする(適所適材)」のどちらかが求められます。

「変化」を求められる時代

一括採用した社員を定年まで雇用し右肩上がりで処遇し続けるという、多くの日本企業で続いてきた雇用システムは、社員にも会社にも温かくありがたい仕組みかもしれません。

しかし一方、本来期待されている活躍や変化対応ができない社員が増加して固定化し続けてしまうと、環境変化に対する企業の機動性が損なわれ、新しいニーズに適応しきれないという問題を生み出します。結果として、企業の競争力や成長力が鈍化し、ミドルシニアだけでなく若手も含めた社員のモチベーションを押し下げる状況を生み出すことに繋がります。

これまでの日本企業では、社員が新卒で入社後に初めは給与を低めに抑えられるものの、毎年の昇給や一定年齢での昇格を続けることによって最終的な生涯賃金と成果が均等化される形になっていました。

国税庁の「民間給与実態統計調査(令和元年度)」では、男性社員の20歳~24歳平均給与は278万円、50歳~54歳で679万円と、2倍以上になっています(最近は、新卒入社時から給与や賃金体系にメリハリをつける企業も散見されています)。

これを社員の立場から見ると、「若い頃は安い給与で使われるが、年をとってからそのモトを取る」という考え方になるかもしれません。

このシステムは日本企業が強い競争力を持っている時代にはうまく機能していました。しかし、グローバル競争の激化に伴ない、これまでのように全社員を長期に渡り厚遇し続けることが難しい時代になったのです。以前のビジネス環境に適応していたシステムが、時代の変化に伴って疲弊してしまったことが、「働かないおじさん」問題を顕在化させたのだとも考えられます。

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