【スキル】実力は「努力が100%」なのか?

キャリア

10歳からバスケットボールをはじめ、日本一を2度経験。
プレイヤーとしての夢は病気の影響により断念したが、「成長過程にいる男たちを、いっぱしの男にしてやりたい!」という思いを胸に、バスケットボールコーチしてます!また大学事務職員として教学マネージメントを担当。リアルな観点から「教育」「子育て論」「コーチング」などについて情報を発信していきます!

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世の中、「努力が100%だ」という信仰で溢れかえっています。
しかし、考えてみてください。
ありとあらゆることにおいて、「100%自分の実力だ」と言えることは、実は少ないと思うのです。
遺伝子か、環境か。先天的か、後天的か。
そういった視点も、幸せに生きるためにはある程度必要と思います。
本人がモテる努力をして恋人ができたとしても、元の顔のパーツがよかったから、つまり遺伝子の影響もあったと言えたりしますよね。
そのように、1つの決定的な要因はなく、さまざまなことが絡み合って、人生は成功へと導かれていくと思うのです。

その事実を受け入れるための話をしていこうと思います。

医者の子が医者になるワケ

まず、多くの人は、「自由意志」を大きく扱いすぎている気がします。
自由意志とは、「よし、これをやるぞ!」とハッキリと自分で意識して、その上で努力によってそれを成し遂げるような力のことです。

お金儲けの本やダイエット本などは、自由意志が正常に機能することが大前提として書かれていることが多いです。
すると、お金が稼げなかったり、痩せなかったりするのは、「あなたの意志が弱いからだ」と著者は言い逃れができます。
合格実績をウリにしている予備校や家庭教師も、最終的には「あなたの頑張りが足りなかった」と言うことだってできるのです。

ある意味で最強の思考法ですよね。

さて、この「自由意志」によって人生を変えられる範囲は、一体どのくらいあるのでしょうか。
私はゼロではないが「ほぼ少ない」と思っています。

たとえば、景気の良さと自殺率は関連するし、お金持ちの家に生まれたほうが、いい学校に進学できます。
これは社会学の領域になるが、個人の行動は、環境によって「ある程度」は決められてしまっているのです。

ここでの「ある程度」という表現がポイントです。
親が医者だから子どもも絶対に医者になるわけではない。それはみんなわかっていることと思います。

しかし、子どもも医者になるであろうと、親や親戚はなんとなく望んでいる。
子どもも、幼い頃からなんとなく意識をする。
毎日の思考に影響すると、大学受験を考える頃に、医学部を選び「やすく」なる。
「医者になるよ」と言ったところで、反対する人も少ないでしょう。
そうなると、逆のことも言えると考えます。

親がだらしなくて、子どもも金遣いが荒くなったり、大学や高校に行かなかったりしやすくなってしまう。
そんな環境に育った子に向かって、「お前の頑張りが悪い」「お前の頭が悪い」というように、100%自己責任で責めることはしてはいけない。

「何か環境や遺伝子による影響があったのかもしれない」と想像力を働かせてみるのがいい。
「これって、遺伝子なのか、環境なのか?」

そういう判断軸を持ってみましょう。

後付けのバイアス

努力も、遺伝子も、環境も、どれか1つが100%だという状況は存在しないのです。
ただ、一代で成功したスポーツ選手や起業家には、「努力100%」のバイアスが染み付いてしまっていると思います。

これが実にやっかいです。
自分が成功できたことを、100%、自分の実力と思ってしまう人は、それを相手にも押し付ける。
熱い言葉を本やブログに書いたり、ドキュメンタリー番組で話したりする。
メディアもそれを求める。

「成功した秘訣はなんですか?」
「毎日の努力です」

そんな受け答えは、これまで何百、何千とされてきたことでしょう。

「たまたまです」と答えてしまっては、番組的じゃないし、本にもならない。
ただ、「100%の努力」を言い出す人を認めてしまうと、人にそれを押し付けることも容認してしまいます。
その押し付けによって、パワハラや過労死が起こる。
あるいは、アルコール依存症や薬物依存症は、意志の力ではどうにもならない。

手に入りやすい経路を絶ったり、医療を受けられるようにしたり、反省と治療後に復帰できるような環境を整えたりすることが必要になる。
社会がどうなのか、自分の所属する家族や会社などの集団がどうなのか、それによる影響は大きいことを忘れないようにしましょう。

顔より「考え方」を整形しよう

遺伝子や環境がどうだったのか。
一歩引いてみて、自分だけのせいにせず、「1%の努力」で変えられる部分はどこなのかを考えてみるのです。
そうやって考え方のクセを変えることで、人生は楽になります。
100%遺伝子のせいにして、親を恨みながらコンプレックス解消しか考えなかったとしましょう。
整形をして顔を変えれば、一瞬の安らぎを得られるかもしれません。
けれど、すぐに顔の他の部分が気になってくるだろうし、頭のよさや身体能力まで親のせいにもしてしまいます。
顔の整形よりも、考え方を整形するほうがきっと救われることでしょう。

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