職場でも何でも、必ず何かしらのコミュニティに存在する「自分の意見はないけど、とりあえず反対する人」。
人の話は聞かない、失礼なことを言う…世の中には、そんな自己中心的な人が存在します。あなたの身近にもいることでしょう。
こういった人にはどのように接すればよいのでしょうか。
そんなことで悩んでいる人に、今日は渋谷昌三著『「めんどくさい人」の取り扱い方法』(PHP文庫)の一部を抜粋して紹介していきたいと思います。
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人の話を聞かずに、自分のことばかりしゃべる人
会話をしていると、すぐに自分の話にしてしまう人に、ムッとした経験はありませんか?
「昨日テレビで見た温泉宿、泊まったことがあるんだけど、よかった。お料理もおいしくて…」
「へえ、そうなんだ。だけど俺がが去年泊まった宿はね…」
といった調子で、すべて自分の話したいことにすり替えてしまいます。
こういう人と話をしていると、「今から本題に入ろうと思ったのに」と欲求不満が残り、ちっとも会話が楽しくありませんよね。「またあなたの話の聞き役?」と、うんざりした気分になることでしょう。
こんなふうに話の腰を折る人には、2つのタイプがあります。
1つは、話をするのが楽しくて、ついしゃべってしまう子どもみたいな人。家族など、身近な人との会話があまりなく、寂しい思いをしている人などにありがちで、誰かと話す楽しさにはしゃいでしまい、相手がどう感じているのかまで、気が回りません。
ゆくゆくはこの人が無敵になると、論理はめちゃくちゃ破綻しているけどクレームいれまくるやばい人になってしまう予備軍です。
もう1つは、短気で、面白くない話だと思うと、聞くのがすぐにイヤになるタイプです。誰もがそうそう面白おかしく話せるわけではありません。それでも、相手の話はなるべく遮らないで、最後まで聞くのが礼儀というものですが、気が短くてイライラする人は、
「なるほどねえ、それはそうとね」などと、すぐに話を変えようとします。相手のつまらない話よりも、自分の話の方がよっぽど面白いと思っているのでしょう。
こういう人もまた、自分の思いのままにならないとジタバタと騒ぐ、堪え性のないきかん坊と同じ精神構造だといえるかもしれません。
この人は子どもなんだ、と思い、適当にあいづちを打って、話題を変えてしまいましょう。
失礼なことを平気で言っちゃう人
とある人(Aさん)が上司の新築祝いに招かれたときのことです。ダイニングテーブルには、おいしそうなご馳走が並び、お皿やグラスなども、センスよく統一されています。
そのとき、Aさんが不意に「これは便利でいいですねえ!」と大きな声で言いました。手に握られていたのは、大皿料理に添えてあった、キッチンで使う大ぶりのお玉。パーティ用にしつらえたテーブルにはいささか不釣り合いなものでした。
上司の奥さんは「サーバースプーンがなくて、ごめんなさいね」と、赤い顔で決まり悪そうにしています。しかしAさんはまったく意に介さず「便利だなあ」と、何度も繰り返し、周囲が白けているのにも気づいていません。
「少しは空気を読め!!」そこにいた皆が、心の中でAさんに向かって、そう叫んでいました…。その場の空気を読めない人というのは、本当に困りものです。「今それを言わなくてもいいだろう」というような、会話の相手が嫌がることを、平気で口に出します。
こういう人は、自分自身を客観的にながめる「セルフ・モニタリング(自己監視)」能力が、通常より欠如している場合が多いようです。この能力が低いと、たとえ周囲から浮き上がっていても、冷たい視線で見られていたとしても、本人は気づきません。
どんなに周りが注意をしても、セルフ・モニタリングできない人を改善することは、なかなか難しいようです。
仕事上など、どうしても必要な場合は「得意先の前では、こういうことは言わない」「酒の席では、なるべく口を慎む」など、相手がはっきりとわかるような決まりを作るのが効果的なようです。
また、相手の言うことに腹が立った場合、ムッとしていても、まったく伝わらないので、「こういうことを言われると、こういう理由で腹が立つのでやめて」と、ハッキリ伝えることが大切です。
「こういう場合は、こういうことは言わない」と、具体的な表現で、事前に決まりを作ってしまいましょう。
「でも」「だけど」と、必ず横やりを入れる人
グループで話し合っているときに、なにかというと反対したがる人がいます。たとえば、職場で飲み会の計画が決まりかけたとき、
「でも、その店あんまりおいしくなさそうだし…」
「ちょっと高いんじゃないの?」
などと、横やりを入れてきます。タチが悪いのは、仕事上の会話でこれをやる人です。部下や後輩のアイデアを、必ず一度は否定する上司、新しいやり方や提案は、ことごとく反対するリーダーなどがいますが、こういう人は職場に実害をもたらしかねません。
だからといって、自分にもっといいアイデアがある、というわけでもありません。
「どこが悪いのか、教えてください」と尋ねても、重箱の隅をつつくような難癖をつけるばかりで、建設的な意見が聞けることは、あまりありません。
こうした人は、リーダーやまとめ役になる人が、気に入らなくて仕方ありません。なぜなら、本当は自分が一番目立ちたい、周りに認められたいと思っているからです。
けれど、それにふさわしい能力や経験、アイデアが自分にはないこともわかっています。そこで、「だけど」「でも」と、口をはさんで、自分に注目を集めようとするのです。
こういう人の反論は、ちゃんとした理屈になっていないことが多いので、「また反対かよ!」とカッカするよりも、冷静に理詰めで反論し返すと、しぶしぶ黙ります。
また、理由のない反対には、「じゃあ、私には難しいから、あなたがまとめ役になって」と、いっそのこと預けてしまうのも手。まとめ切れずに投げ出した頃を見計らって、再度話を進めれば、今度は「でも」とは切り出さないでしょう。
理詰めで反論するか、「じゃあ、やって」と、任せてしまいましょう。
自分は特別だと勘違いしている、おめでたい人
なんの根拠もないのに、自分だけはなにをやっても許されると思い込んでいる人がいます。
たとえば、ミスを犯したのに、人ごとのような顔をしている新入社員。周囲に迷惑をかけていることを理解している様子が感じられず、ちょっと厳しいお小言を言えば「私はこういう仕事に向いてないんですよねえ」「もっと僕のこと理解してくれる会社だと思っていたのに」と、不服顔で上司に文句を言い出す始末。
「お前にできる仕事なんて、どこにもねえよ!」と、怒鳴りたくなるのを我慢している上司が気の毒に思えてきます。
また、「私は感受性が強いから、すぐ気にしちゃうタチなのよね」と、上目遣いで話す人。本人の言葉とは裏腹に、よほど神経が図太いタイプと見ていいでしょう。
彼らは、なぜか自分を特別な存在だと勘違いしています。周囲が大切にしてくれるのが当たり前だと思っているのです。こういう人は、ずっと甘やかされて育ってきた人に多いのですが、大人になっても「甘える」気分が抜けておらず、そのやり方をとおそうとするのです。
けれど、赤の他人が、甘えを受け止めてくれるわけがありません。すると、「ちっとも自分のことをわかっていない」と、被害者ヅラをします。
そして誰かに相談するという形で、甘えや依存したい心を満たそうとするのです。いうなれば、だだをこねているお子ちゃまということです。
こういうタイプは、いちいち相手にしていても仕方ありません。放っておいてもかまわないでしょう。もし「自分のことを邪険にする意地悪でひどい人」などとそしりを受けたら、「気づかなくてごめんなさいね」と言葉だけでも謝っておけば、ケロリと機嫌は直るでしょう。
甘えを受け止めると、子守役にさせられます。「わかってあげなくてごめんね」と謝るだけにとどめておきましょう。
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