日本は24年ぶりとなる歴史的円安に大いに苦しんでいます。円安は輸出企業の収益や国際競争力に追い風となる面がある一方、我々、消費者にとっては物価高という逆風を生むのです。現に電気代、ガソリンをはじめとする多くの輸入品は値上がりする一方です。今年3月以降の円安は、物価(個人消費デフレータ)を0.4%程度押し上げる計算らしいです(内閣府・短期日本経済マクロ計量モデル(2018年版)による)。
日本銀行の政策姿勢が変わらない中、日米金利差に根差す円安ドル高が定着し、物価高も長期化してしまうことを警戒しています。また、物価高対策を実施している政府にとっても、円安進行がその政策効果を減じてしまうことを警戒していることでしょう。
このまま続いてしまうと、私たちの生活はどうなっていってしまうのか。
また今更聞けない円安円高について詳しく説明していきたいと思います。
円高・円安
円高とは?
円高とは文字通り日本円が高くなったことを表しています。
こちらの例ではある時点で100円を出せば1ドルを買えていたのですが、時間を経て50円を出せば1ドルを買えるようになったことを示しています。
さて、これは円高と円安どちらに動いたといえるのでしょうか。「100円から50円になったから円安でしょ」というのは誤り。正しい答えは円高です。
50円=1ドルということは、言い換えれば100円を出せば2ドルも買えるということになります。
つまり100円=1ドルのときよりもドルをより多く買えることになり、それだけ円の価値が高くなった(=円高)といえるのです。
海外投資や、海外での買い物は円高のときのほうがオススメということになります。
円安とは?
円安とは文字通り日本円が安くなったことを表しています。
こちらは100円を出せば1ドルを買えていたものの、時間を経て200円を出さないと1ドルを買えなくなったということを示しています。
先ほどと同様に「100円から200円になったから円高」と考えるのは誤りで、正しい答えは円安になります。
200円=1ドルということは、言い換えると半分の100円では0.5ドルしか買えないということになります。
100円=1ドルのときよりも買えるドルが少なくなってしまい、それだけ円の価値が安くなった(=円安)といえるのです。
大幅なドル高と利上げ競争:取り残される日本
日本銀行が政策姿勢を頑として変えない中、政府は円安阻止に向けて、依然ハードルは高いとはいえ、為替介入の実施を視野に入れ始めた?(というか介入した?)可能性があります。日本政府は米国政府に対して、円買いドル売りの為替介入を容認して欲しいと訴えていますが、、米国は「円安が嫌なら日本銀行が利上げをすれば良い」、と冷たく応じているのではないでしょうか。そもそも米国は別に知らねえよって話ですしね。
他国では米連邦準備制度理事会(FRB)に置いて行かれないように大幅利上げを行い、物価高を助長する自国通貨安を回避しようとしています。その結果、急速な利上げが他国にも伝播する形で、世界全体が急速な利上げを競う、利上げ競争の様相を強めている。これは、世界経済にとって大きな逆風となるかもしれません。
私たちの生活への影響
今回の円安基調の背景には、日米二国間の金利差やインフレの状況など経済政策の影響、国際的な政情不安の影響があるとされます。
しかし、前提として世界的に生じているインフレやモノの値段の上昇があったことも大きなインパクトがあります。
例えば、アメリカでランチを食べるのに2,000円かかると話題になったことがありますが、実はアメリカのコーヒーショップの時給は2,000円前後といわれています。
これはインフレに伴いモノの値段と時給がアップした影響です。つまりアメリカで生活をする人にとっては、日本で時給900円で900円のランチを食べるのと同じ感覚なのです。
しかし、アメリカの食品を車のガソリン代が大きく上昇しているのは皆さんもご存じのことでしょう。電気代やガス代も1年で20%くらい上がっています。
他にも、小麦の値段が大幅に上昇したことにより、食パンなどは同一年内に2回の値上げを行っています。当たり前のように購入していた朝食のパンも、10%以上の値上げがなされているわけです。日本に輸入したとすれば、値上がりした商品を持ってくるわけですから、円安の影響がなくても値上がりすることになります。
実際、食料品、石油や天然ガス等の資源エネルギーなどの価格は近年大きく高騰していました。もともと値上がり傾向であったところにロシアとウクライナの国境紛争が拍車をかけています。
今後どうなる?
日本ではこの数十年、モノの値段は大きく上がってきませんでした。
むしろ高品質はそのままに価格を抑えた衣料品が普及したり、100円ショップに代表されるように低コストでいろんな商品が購入できるようになりました。
新聞社の調査では、1年前と比べてスーパーマーケットの主要商品の62%が値上がりしていたそうです。今後も各社の値上げ情報が目白押しでほとんどの商品が年内には値上げされることになるでしょう。
先日、スマートフォンの価格が約20%値上げされてニュースになりましたが、そのほとんどが円安を価格に反映したものでした。
原材料の価格が10%以上値上げされ、円安もこの半年で10%以上進展したなか、10%以上の値上げはもう珍しくないということです。
ごく普通に買い物をして、特に贅沢をしているつもりがなくても、毎月の家計が赤字になるのが「円安赤字」の怖さです
例えば、1ヶ月15万円でやりくりをしていた家計があったとき、10%の値上げがあったとすれば、普通の生活をしていれば1.5万円の赤字になると思うくらいの感覚を持ちましょう。
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