アスリートは現役引退後、「セカンドキャリア」の問題に直面することが多いと思います。指導者に転身し、新たなステージで成功を収める選手がいる一方、引退後に転落してしまう事例も少なくないでしょう。
世界最高峰のプロバスケットボールリーグで華やかなプロキャリアを過ごし、現役引退後に自己破産してしまう人も結構いたりします。
ここ近年現役引退後のセカンドキャリアの重要性を訴える声も増している気がします。
今日はそのプロアスリートのセカンドキャリアについて考えていきたいと思います。
現役引退後の年収
笹川スポーツ財団の調査によると下記のような結果が出ています。
・「300万円未満」が大多数を占める
・正規雇用者5割
・派遣・契約社員アルバイト2割以上
華やかなキャリアを誇るプロアスリートは現役引退後もひく手数多かと思いきや、正規雇用は半分程度で、サラリーマン平均年収以下というのが現状です。
だいたい引退年齢の平均は男性31.1歳、女性26.9歳と言われており、31歳で年収300万は正直厳しいですよね。
成功する人と失敗する人の違い
現役中にセカンドキャリアを意識して過ごしているか、過ごしていないかでかなり引退後の結果は変わるのではないでしょうか。
例えば、NBA界で言うと現役最強のロサンゼルス・レイカーズに所属するレブロンジェームズはNBAのサラリーで約40億円稼いでいます。
それだけでなくその他で約57億円の収入を得ており、総年収は約100億円に到達すると言われています。
主な収入源はスポンサー契約であることは間違いないでしょうが、ビジネスパートナーとスプリングヒル・エンターテイメントという制作会社を経営しているほか、カリフォルニアより急成長を続けるブレイズ・ピザに2012年から投資を続け、現在は21のフランチャイズ店舗を所有しています。さらに、2011年にはイングランド・プレミアリーグの強豪サッカーチームであるリバプールFCの株式を2パーセント所有する契約を結び、将来的なビジョンを持って行動しているわけです。どんなに最強アスリートでも選手生命は永遠ではなく、圧倒的に引退後の人生の方が長いのです。その長い人生の部分を意識して過ごすことは非常に重要だと思います。
日本でも就職に生きる資格を取れるうちに取っておく、もし引退となったらどんなところで働けるか、という目星をつけておいたり、周囲の人々に相談しておくだけでもスタート地点が違ってくると思います。またセカンドキャリアで転落しないようにJOC(日本オリンピック委員会)にもキャリアサポートセンター(JOCキャリアアカデミー事業)というものが存在します。そこを有効活用して『引退後、自分はどんなことができますか?』と質問にいっているアスリートもいます。
プロ選手になるという夢を叶えることは素晴らしいことですが、それはあくまで人生の通過点であることを理解しなければならないでしょう。
教育の現場はどう考えるべきか
私も大学でコーチをしている立場で考えると、教え子からプロ選手が生まれるということは大変誇らしいことですし、自分が現役時代であったらチャレンジしていたでしょう。
しかし最近になって思うのは教育の現場に携わりながらスポーツの指導者をしている人は、アスリートとして成功を収める手助けをする一方、人生を豊かにしなければならないと思うのです。
特に野球やサッカーに比べるとバスケットボールはまだまだプロとして飯を食っていける状況ではないことを考えると、プロに行けと胸を張って言いずらい面もあります。
現役引退をした大半が年収300万円以下、正規雇用者が50%という数字から考察するに、「プロ選手を育むことは学校の部活ではない」と思うのです。逆に教育の現場ではそういった社会の中でどのようなスキルを身につけておくべきかを教えてあげなければならないと思います。まあでも学校の先生は社会を知らないので教えてくれないと思いますが。
本当にプロとしてスポーツをしたいという子供に対してはプロチームが運営するクラブチームなどの「社会体育」が担当すべきではないでしょうか。
しかしそれも世界的に見ると浸透が遅れていますよね。それは間違いなく中体連、高体連の影響だと思います。
日本の中体連、高体連がまだまだ牛耳る日本のスポーツ界がいつまでたっても自分達の肥やしだけを考えて色んな可能性を潰していることにそろそろ本気で声を上げるべきだと思います。
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