子供は【自己肯定感】が低いです。大人からすると何気ないジョークでも心底傷ついてしまうことも少なくなりません。
そんな人格そのものも否定しないよう、多くのパパママが子供に伝えている「そのままでいいんだよ」という言葉。
しかしこの言葉の本質を理解せず使い続けると逆効果になってしまう危険性があります。
今日はその点をお話していきます。
「あなたが生きていてくれて、私はうれしい」
「あなたはそのままでいいよ」という言葉の本質は、「あなたが生きていてくれて、私はうれしい」ということです。
「私」=「パパ・ママ」がうれしいのです。しかも口先だけでなく、そう感じていることが大切です。しっかりと実感できていたら、口にしなくても伝わるでしょう。
そのように実感できていないのに、「そのままでいいよ」と言ってさえおけば、なんかいいことがあるらしいという感じで、ただ口先だけで伝えるのではなんの意味もないということは、想像できるでしょう。むしろ逆効果になるかもしれません。
「私はあなたがいるだけで幸せ」を態度で伝える
「そのままでいいよ」という言葉は、「あなたはこうしたほうがいい」「あなたはこうなったほうがいい」「あなたはそのままでいい」というような役割を割り振っているような言い方に聞こえる場合もありますね。
もしかしたら子どもは、変わりたいと思っているのに「そのままでいなさい」と言われているように感じることもあるかもしれません。
そうなってしまうと「どうしたらいいか分からない」状態になってしまいます。
このように書くと「また面倒なことを言ってるな。いちいちそんなこと考えられないよ。じゃあ、なんと言ったらいいんだよ」という声が、いまにも聞こえてきそうですね。
本質は、なにを言うか、ではないということを理解しなければなりません。子どもとの暮らしの中で、親が子どもの存在をどう受け止めているか、です。「親は自分がいるだけでうれしいと思ってくれているんだ」と子どもが感じられることが、一番確かなメッセージになります。では、具体的にそれはどのようにして伝わるのか。
それは、親が機嫌よくしていることです。親が家の中の時間を、人生を楽しんでいる姿を見せる。そうすることで、子どもは「親は自分が生きていることをうれしく思っている」、「自分はこのままでいい」ということを心と体で理解していきます。
一緒に暮らしながら、機嫌良くしていること、それは相手の存在を肯定している、そういうメッセージを送っていることになります。その大切さは、その逆を考えればよくわかるでしょう。いつも父親が(母親が)不機嫌にしている。そういう空間で過ごさざるを得ない子どもにとって、それはとても居心地の悪い、つらい暮らしとなるでしょう。
「あなたはそのままでいい」とか「あなたが生きていてくれて私はうれしい」という言葉よりも、ずっと確かなものは、子どものいる空間で機嫌良くしていること、その時間の幸せを感じて生きること、だと思います。
機嫌のいいふりではダメ
「忙しくて大変なのに、なんで機嫌のいいふりまでしないといけないのか」とか「現実にはしんどいことが山ほどある。機嫌のいいふりなんてする余裕がない」というふうに思う人がいるかもしれませんね。
機嫌のいいふり、ではダメなのです。親子なので、親が「ふり」をしていることはすぐに子どもに伝わってしまうもの。自分が子どもだったときのこと思い出してください。幼いときでも(幼いときほど、かもしれません)親が本当に機嫌がいいか、ふりをしている(無理をしている)のかは、わかるものです。
私はとにかく父親の顔色を窺い、ビクビクしながら生活していたのを覚えています。
親が自分の生活を楽しむ
子どもには親の生き方、生活、気分の面倒はみれません。親は大人として、自分の生活をできるかぎり楽しめるように(そして、それは子どものためにもなる)、できることをやる、がんばるべきです。
子どもと暮らせる時間、子どもが子どもでいるわずかの時間を大切に過ごせるように、自分の心の状態をいいものに保つ努力をすること。その努力をしている親の姿を子どもは間近で見ながら育っていきます。それは本当に大変なことかもしれません。しかし世界一やりがいのある贅沢な挑戦だといっても過言ではないでしょう。
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