【子育て論】夫婦喧嘩が与える子どもへの影響

子育て

10歳からバスケットボールをはじめ、日本一を2度経験。
プレイヤーとしての夢は病気の影響により断念したが、「成長過程にいる男たちを、いっぱしの男にしてやりたい!」という思いを胸に、バスケットボールコーチしてます!また大学事務職員として教学マネージメントを担当。リアルな観点から「教育」「子育て論」「コーチング」などについて情報を発信していきます!

Coach Kをフォローする

私は平和主義者なので、妻とは喧嘩しないタイプですが、みなさんのご家庭はどうですか?
夫婦喧嘩、ふとした時に起きてしまうものなのでしょうね。
意見の違い、行動の違いなど、お互いに譲れない部分があったり…。
まあ、どうしても己の意見を通そうとすれば、夫婦間に限らず、喧嘩は起こります。

でもその喧嘩を子どもが見ていると、その子どもにどのような影響を与えるか考えたことありますか?

ここでは、夫婦喧嘩が子供に与える影響と、夫婦喧嘩の後でどうフォローするかを考えてみます。

夫婦喧嘩を見た子供が抱える問題

夫婦間の喧嘩も、大事になってしまうと、警察のお世話になる場合もあるみたいですね。平成27年の警察における配偶者からの暴力の相談件数は63,141件で、過去最多だったようです。
この相談内容には、身体的暴力、心理的攻撃、経済的圧迫、性的強要などが含まれています。
今回はその中でも特に、子供への影響が大きいと考えられる、「相手に手を上げる」「物を投げる」などの身体的暴力や、「大声を出す」などの心理的攻撃について考えてみます。
このような暴力や暴言は、夫婦間で行われる「夫婦喧嘩」だったとしても、子供の前で行われるものであれば、子供への虐待にもなります。
それだけ、子供へのダメージは大きいのです。

子供の感情と変化
両親が怒鳴り合う、もしくは一方的に怒鳴られる親を見た子供は、恐怖心を抱くようになります。
家の中でくり返されれば、子供には逃げ場所がなくなってしまうのです。
夫婦喧嘩はその時だけでなく、終わった後も家庭内の雰囲気を悪くしますよね。
その結果、子供は常に不安な状態になり、日頃からびくびくと怯えるようになります。
子供は自己中心的に物事を考る傾向にあるため、次第に「夫婦喧嘩は自分のせいだ」と思い込むようになってしまうとか。
つまり、「自分が良い子じゃないから両親は喧嘩している」「自分がいなければ家族は幸せ」という考え方をしてしまいます。
この状態が続くと、いずれ「自己肯定感の低い大人」になってしまうのです。

中には、夫婦喧嘩が始まらないように、無理に明るく振る舞ったり、良い子を演じるときもあります。
本来の自分を出せない子供は、家庭内で悩みを抱え込み、苦しい思いをすることになるかもしれません。

夫婦喧嘩を見て育った子供が抱えるトラウマ
では、夫婦喧嘩を見て育った子供が抱えるであろう、トラウマ(心理的な傷)について、考えてみます。

【身体や心への影響】
日常的な両親の喧嘩を目の当たりにした子供は、何の問題も無く、健やかに育つのは難しいでしょう。
「親に気を使うようになった」「乱暴になった」「よく泣くようになった」という、気持ちや身体の異変を感じることも、少なくありません。
中には、ぜんそくの発作やアトピーの悪化など、「喧嘩が始まると、身体に変化が生じた」という子供もいます。

他にも、子供に次のような変化が起きたときは要注意です。

・食欲不振や腹痛、吐き気などの消化器症状、頭痛
・トイレの失敗、回数が増える
・いつもビクビクしている、イライラしている
・多動や多弁、集中できない、落ち着きがなくなる
・必要以上に誰かにベタベタする、甘えが強くなる
・反抗的になる、乱暴になる

夫婦喧嘩が絶えない状態は、両親に精神的な余裕がなく、子供の話しや悩みに耳を傾けられないため、子供が寂しさを抱えたまま成長してしまう場合もあります。

【コミュニケーションに支障を来す】
他にも、両親間の暴力や暴言を日常的に目撃した子供は、脳の「視覚野」の一部が萎縮するという研究結果があります。
福井大学とハーバード大学との共同研究によるものですが、両親の暴言や暴力を数年に渡って目撃してきた人は、視覚野が平均で16%萎縮していたのだそうです。
さらに、身体的な暴力を目撃してきた人よりも、言葉の暴力を目撃してきた人の方が、脳へのダメージが大きいことも分かりました。
視覚野の中でも「夢や単語を認識する部分」が、身体的暴力を目撃した人よりも、言葉の暴力を目撃した人の方が、3倍のダメージを受けていたのだそうです。
視覚野が萎縮するということは、目の前にあるものを正しく認識できない、あるいは見たくないモノは存在を認識できないことにつながります。
つまり、記憶力や学習に影響が出る可能性がありますし、語彙力が落ちてしまうのだそうです。

子供が考える「家庭の中での自分の立ち位置」
親が子供の話しや悩みに耳を傾ける余裕がなくなると、子供は「ママやパパは自分を見てくれていない」と感じるようになり、やがて「家の中に自分の居場所がない」と考えることもあります。
自分は家族の一員ではないと考えるようになると、自分の存在を小さく、目立たなくしてしまうのです。
例えば「家族の絵」を描くと、自分を異常なほど小さく描いたり、離れたところで家族に背を向けた様子を描いたりすることもあるそうです。
また、大きな布団の中に自分の小さな頭だけを出し「ここから出たくない」という意思表示を無意識にすることもあるようです。
そして、自分自身の殻に閉じこもってしまい、体調不良や不登校、学校には行ってもいわゆる「保健室登校」に繋がっていく可能性があります。

いい夫婦喧嘩と悪い夫婦喧嘩
「相手に手を上げる」「物を投げる」「大声を出す」という夫婦喧嘩は、子供の前に限らず良いことではありません。
しかし、意見の食い違いからの衝突そのものは、決して悪いことばかりではありません。

ここには「建設的な対立」と「破壊的な対立」というものがあるからです。

破壊的な対立とは、威嚇する、批判する、怒りや不満をぶつけるなどの言動です。
「だからアナタはダメ」と強く主張したり、暴力を振るうことも含まれます。

一方の建設的な対立とは、冷静に話し合う、人ではなく課題にフォーカスした発言をする、歩み寄りをみせるなどの言動です。
「では、こうしたらどうだろうか」という前向きな意見をお互いに述べることが必要です。
これを夫婦間の対立におきかえると、子供に対する影響も踏まえ、お互いが冷静になりじっくりと話し合うという体制を設けることが必要になります。

アメリカのアリゾナ大学の研究チームが、「建設的な対立」と「破壊的な対立」が、子供に与える影響を調査しました。
すると、夫婦間での破壊的な対立は、子供の精神面に特に大きな影響を及ぼすという結果が出ました。

元々は他人である2人が一緒に生活していれば、意見の食い違いや多少の衝突が起こるのは当然です。
その際は、感情的になりすぎず、冷静な議論を心がけましょう。

建設的な対立の元の夫婦喧嘩は、共に問題を解決しようとする姿勢を見せれば、同じ衝突であっても、子供に対してむしろ良い影響を与えることができます。
子供の人間関係で、同じような意見の違いや対立があったときに、冷静に話し合い、解決するスキルが身につくのです。

子供へどうフォローしていくのか

まずは、子供の心のケアから
夫婦喧嘩を目の当たりにした子供は、心が深く傷ついています。
自分の両親が暴力的な言動を発したり、自分を気遣ってくれなかったことなどに対して、子供の年齢が小さいほど、混乱は大きいでしょう。
喧嘩をした相手、自分に暴力や暴言を振るった相手に対して「怖かった」「居心地が悪かった」「悲しかった」「軽蔑した」などの言葉を伝えるのは、二の次です。
暴力や暴言を振るった方も、決して言い訳せずに、まずは子供の傷ついた感情を受け止めて下さい。

その後、必ず子供を、優しく抱きしめてあげてください。
夫婦にとって、子供は大切な存在だと伝えてあげれば、子供の心は和らぎます。

親の関係、親子の関係
夫婦喧嘩をしてしまったとき、無かったことにはできませんので、深く反省しなければなりません。
子供の前で取ってしまった言動への振り返りはもちろん、なぜそうなってしまったのかを考え、解決していく必要があります。
夫婦喧嘩の原因が何だったのか考えず、一方的に「相手が悪い」と決めつけてしまうのはNGです。
次に同様の問題が持ち上がったとき、夫婦喧嘩にならないためにはどうすればいいのか、お互いに解決策を考えるようにしましょう。
そのためには、お互いの気持ちや価値観について、しっかりとした話し合いが必要です。

お互いに深く反省し、話し合いをしてもなお、衝突してしまう時は、相手の言動だけに気を取られるのではなく、子供の存在をしっかりと意識するようにしましょう。
子供にとって、この行動はどう見えるか、この言動がどれだけ子供を傷つけてしまうのか、常に客観的に意識すれば、夫婦喧嘩のブレーキになるはずです。

まだ話が理解できない子供へのフォロー
小さな子供や乳児であっても、ピリピリとした空気感やいつもと違う両親の様子は感じとります。
言葉を理解できなくとも、怒鳴り声や感情的な声が聞こえれば、不安と怖さと悲しさで縮こまってしまったり、混乱して泣き出してしまいます。
すぐさま喧嘩をやめ、話は理解できなくても、「怖かったね、嫌だったね」と言いながら抱きしめてあげましょう。
言葉で感情を表せる時期の子供には、その感情をしっかりと受け止めてあげてください。
喧嘩の後も、子供の情緒の変化(夜泣きなど)や行動の変化(おもらしなど)を見逃さないように注意をし、変化が見られたときは、今まで以上に愛着関係を深めて、安心させることが大切です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました