あなたは「悲しいほど硬い人」、「ものすごく柔らかい人」どちらですか?
頑固も時にメリットと捉えることもできますが、近年はどちらかと言うと、柔軟な人が重宝されているように思います。
歳を重ねるにつれ、頑固になっていくなんて人も多いと言われてますよね。
頑固は、自分が正しいと思うことを変えないことです。
「自分が正しい」「自分が正義」そういう思いが強すぎて、人の意見をなかなか認められないわけです。
これは「脳のバイアス」(偏った考え方)が関係しています。バイアスが「頑固な思考」を生み出しています。
それともうひとつ、「マインドセット」も関係します。「マインドセット」とは、その人がそれまでの人生の中で構築してきた固定化された考え方のことです。価値観や信念、それに思い込みなども含まれた、その人の考え方のベースです。
頑固は「保守化バイアス」「サンクコスト効果」というバイアスと、「硬直マインドセット」の3つの要素が生み出しています。
「保守化バイアス」
「保守化バイアス」とは、新しい情報や証拠などを出されても、自分の信念や考え方を修正することなく、自分の考えに固執してしまう考え方です。
よくある「最近の若者はダメだ」「自分たちの若い頃はもっとやっていた」といった、自分たちが生きてきた時代を肯定する考え、若い人を否定する考えは、まさに保守化バイアスが脳に広がっている状態です。
このバイアスが強いと変化に鈍くなり、まわりからも「頑固」「頭が固い」という評価をされてしまいます。
保守化バイアスを軽減する方法は、新しいものに触れる頻度を上げることです。新しいものに触れる機会が多くなれば、保守化バイアスは弱まるはずです。
例えば自分の専門種目以外の競技に挑戦するとか、異職種の方と話してみるとかでいいです。
私もバスケットボールの世界以外の人と話したりすると、新たな発見があったりして面白くてどんどんコミュニケーション取るようにしています。
それともうひとつ、これは保守化バイアスだけでなく、あらゆるバイアスに対して言えることですが、「自分がそのバイアス(考え方)の影響を受けていることを自覚する」ことが大切です。
自覚しているだけで改善のきっかけになるので、頑固だと周りから言われたり、自分でそう思ったときはこの対策をしてみてください。
「サンクコスト効果」
2つ目は「サンクコスト効果」です。これもバイアスのひとつで、信じてコツコツと積み上げてきたことがもし間違いだと明らかになっても、かけてきたコストが無駄になることを恐れて、いまの行動を正当化しようとする脳の働きです。
サンクは沈んだ(sunk)という意味で、日本語で「埋没費用」と言います。
これまで信じてきたことが無駄にならないように、たとえ周りから見ると理不尽な選択であったとしてもそれを正当化し、しがみつき続けてしまいます。あまりメリットはないとわかっていても、意地で自分の意見を押し通します。
継続してきた勉強法で成果が出なくても、そのまま続けてしまう。やっているダイエット法が自分には効果がないことが明確になっても続けてしまう。
こうした自分のやっていることを否定したくない理由でとってしまう言動には脳の働きがあることを認識し、気にしておくだけで頑固さの軽減につながります。
3つ目は「硬直マインドセット」です。
「マインドセット」は、その人の考えのベースになるもので、ガンコな人と柔軟性のある人は、このマインドセットが違っています。頑固な人は「硬直マインドセット」、柔軟な人は「しなやかマインドセット」があります。
「しなやかマインドセット」
マインドセットが自分の能力や行動にどう影響するかということはカリフォルニア大学の研究で、かなりわかってきているそうです。
頑固な人は「自分の能力は生まれつき決まっている」と信じている人が多いと言われています。一方で柔軟性があって成長意欲が高い人は、「脳は使えば使うほどよくなっていく。能力はどんどん上がっていく」と信じている人が多いです。
この思考の違いによって、人生が大きく変わります。
成長意欲が高い人の学習能力は伸びやすく、自分の能力は生まれつき決まっていると考える人の学習能力は伸びにくい傾向にあります。
これには環境も影響します。成長意欲の高い親の子どもは成長意欲が高くなりやすいですし、仕事でも成長意欲の高い人がいる組織は、全体の成長意欲も高まりやすくなります。もちろん逆もです。
過去の自分の考えにとらわれている「臆病者」の「頑固」はますます硬直化していきます。そういった自分を変えるためには、「新しい体験の数を増やすこと」と「ドーパミンを増やすこと」の2つです。
たくさんの新しい体験をした人ほど、考えや視点が増えて柔軟性が増してきますし、ドーパミンを増やすことで意欲が高まり、相手を理解しようという気持ちも高まります。
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