動かない理由をまず考えましょう。
多くの親御さんの願いのひとつではないかと思います。私もその1人です。
しかし、特に子供は自分がやりたいことや好きなことは自主的に行動しますが、そうではないことに対してはなかなか動きません。
ゲームや動画は言われなくてもやるのに、宿題や勉強は自主的にはやりませんね。
そうして「親がアナウンスする→子どもが動く」か「親がアナウンスする→子どもは動かない→親子でバトルが始まる」のいずれかになりがちです。
一度このパターンが作られると、“沼”から抜け出すのは大変です。
なぜ子供は親が思うように行動しないのかという点について触れたいと思います。
この原因がわかれば、対策が見えてくるのではないでしょうか。
【原因】子どもは未来に対する認識が極めて低い
子どもが自主的に行動しない大きな理由。それは、「子どもは未来に対する認識がないか極めて低い」ということです。
例えば、宿題を自らやらない子がいたとします。
その子は、目の前の宿題の存在自体は認識できていますが、それをやることによる未来のメリット、やらないことによるデメリットなどは意識できていません。できるわけないのです。
子どもは現在を強く認識する傾向が強く、そのため目の前のやりたいことを優先することが多々あります。
もし、未来に対しての認識があれば、不安が募り、もっと「準備」をするはずです。
宿題をしないということは、それが未来の成績や入試につながっているという認識がないか、極めて低いと考えられます。
テストが近づくにしたがって、次第にやらなければならない気持ちが(多少でも)高まるのは、現在と未来(=テスト)との距離が短くなってくるからです。
一方の大人は、未来についての認識がしっかりしているので、一連の流れをよく理解しています。
そのため、準備をしないと大変なことになるのではないかと不安になることができるわけです。
では、いったいいつごろその未来感覚はつくの?と思われるでしょう。
これについてはかなり個人差がありますが、だいたいの傾向をお伝えしますと、男子で中2の夏以降、女子では小5からと言われています。子どもの自律の第一歩はこの時期から始まるとも考えてよいかと思います。
【対策】3つの手順で進める
とはいえ、子どもが成長するまで、ひたすら何年も待ち続けるわけにはいかないこともあります。親が精神修行をするにも限度があります。では、どうしたらいいでしょうか。
それは、実はカンタンです。淡々と教えてあげればいいのです。
そのうえで、以下の3つの手順で進めていきます。
今後想定されるすべてのケースを選択肢として提示します。例えば宿題のケースであれば、多くの場合、次の2つになります。(厳密には3つ以上もありえますが、整理していくと2つに帰結します)
(1)宿題をするという選択
(2)宿題をしないという選択
(1)宿題をする場合
<メリット例> 学力が上がる、テストで点数が上がる、達成感が得られる
<デメリット例> 遊びの時間が減る、面倒
(2)宿題をしない場合
<メリット例> 自分のやりたいことができる時間が増える
<デメリット例> 先生に怒られる、成績が下がる
ここで大事なことは、メリットとデメリットの両方を公平に話すことです。
親の意図が入ると、子どもはそれを敏感に感じ取ります。
また、メリットとデメリットは確実にそうなるわけではないため、あくまでも可能性の話であると伝えます。
確実にそうなると伝えてしまうと、子どもは納得しませんし、例外を挙げてきて反発することもあります。
この手順が最も難しいです。なぜなら親はどうしても宿題をやってもらいたいと思っているため、「宿題をやる」選択をするように誘導したり、親の意見を言ったりすることがあるからです。
例えば、「選択は自由」と言っておきながら、「お母さんだったらやるけどね」とか「やったほうがいいと思うけど」など、一言付け加えてしまったり。これは明らかな誘導であり、誘導を行うと、子どもは本来の意思に反して、親の意図とは逆の選択肢を選ぶことがあります。
なお、「テストが近いからそろそろ勉強したほうがいい」「宿題やらないと身につかないよ!」「テストがあるんだからテスト勉強しなさい」は教えるとはいいません。これらは「説得」「脅迫」「強制」です。このような働きかけをすると子どもは、反発しがちです。
では、優しく言えばいいかといえば、それも違います。優しく言う、強く言うという話ではありません。未来を認識できない子どもに、現在と未来がつながっていることを、きちんと教えてあげるのです。
すべて網羅された選択肢が与えられると、拒絶できない
以上をまとめると次のようになります。
もし、このように伝えて、子どもが宿題をしない選択をしたらどうしよう?と思うかもしれません。
「説得」「提案」「脅迫」「強制」であれば、子どもは「拒絶する」という道をとることもできます。
しかし、すべてが網羅された選択肢が与えられた場合は選択せざるをえないため、拒絶ができません。
すると、子どもは自己選択するために自分事と捉え、自分にとってのメリットは何かを考えるようになります。
ちなみに、この方法で指導した場合、自分を成長させない選択をした子はほとんどいないと言われています。
仮に間違った選択をした場合でも、それは学びにつながり、その後、選択を修正してきます。
それが、「自主性」「主体性」に繋がっていくのではないかと思います。
ぜひ一度この選択モデルをお子さんに提示してみてください。何かしら変化が出るのではないかと思います。
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